多くの人は「朝ごはんが1日で最も重要な食事である」と考えていることでしょう。
厚生労働省も国民健康・栄養調査で国民の朝食の欠食率を調べていますし、内閣府の「食育推進基本計画」では朝食を食べない国民の割合を減らすことを目標の一つに掲げています。
1日で初めて口にする食事ということで、健康やダイエットにリンクしそうというイメージはなんとなく分かりますが、実際のところはどうなんでしょう。
本当に朝食には、みんなが考えるような痩せる効果が本当にあるのでしょうか?
そこで今回は「朝ごはんはダイエットに効果的なのか」を研究結果を交えながら解説していきます。
最後にダイエット中の朝食でおすすめのメニュー、食べないほうがいいメニューも紹介するので、自身の食生活の参考にしてみてください。
そもそもなぜダイエットで朝ごはんを食べることが大切だと考えられているのかというと、
朝ごはんを食べる人は、食べない人と比べて「スリムで健康的」だとした研究がいくつもあるからです。
多数の研究で証明されているのだから、朝食にダイエット効果があるに違いない!と考えたくなる気持ちは分かります。
ですが、これらの研究は観察的なもので朝食とダイエットの因果関係を証明しているわけではありません。
「朝食を食べたから痩せた」のか「朝食を食べる人はたまたま痩せている人が多い」のかが判断できないのです。
別の研究で朝食を食べない人は食べる人に比べて喫煙率が高く、お酒を頻繁に飲み、運動量が少ない傾向にあるとしたものがあるので
朝食を食べるから痩せるのではなく、単に朝食を食べる人には健康意識が高くて痩せている人が多く、逆に食べない人は健康意識が低くて太っている人が多いだけなのでしょう。
いやでも朝ごはんを食べると代謝スイッチが入るから痩せやすくなるんじゃないの?
と、考える人は多いと思います。
朝の食事が1日の消費カロリーを増やすんじゃないかと。
ですが実際に朝食と代謝の関係を調査した研究では、朝食を食べなくても1日の消費カロリーに違いはないことが明らかになっています。
朝ごはんには、昼・夜ごはんとは違った特別なダイエット効果があるなんてことはなく、普通の食事に過ぎません。
ずっと信じられてきた「朝食を食べると代謝が上がる説」ですが、実は間違いだったんです。
驚く人も多いと思いますが、逆に朝ごはんを食べないほうが痩せる可能性すらあります。
ダイエットの基本はカロリーバランスです。
これは痩せるためには食事を抑えて摂取カロリーを減らすか、運動を始めて消費カロリーを増やすか、もしくはその両方が必要になるのという意味です。
朝食を食べないということは単純に摂取カロリーが1食分減るので、痩せやすくなるのは感覚的にも分かると思います。
ただ全ての人が朝食を抜けば痩せるかというとそういうわけでもなくて、
朝ごはんを抜いたら空腹感が強くなって、昼ごはんをがっつり食べて太っちゃいました、なんてこともあります。
朝ごはんを食べるかどうかは人によりけりってことですね。
ここまで朝食に対するネガティブキャンペーンみたいになってしまいましたが、別に朝食を食べてはいけないという意味ではありません。
むしろ食べた方がいい人もいます。
それは「1日のタンパク質摂取量が少ない人」です。
ダイエットの目的は綺麗な体型になることで、そのためには「筋肉を維持し体脂肪率を落とすこと」が必要になるのですが、
そのためには筋トレと同じくらいたんぱく質を摂ることが重要になります。
その量は「体重x2gほど」と言われていて、体重60kgの人は120gにもなります。
ですが大多数の人、特に女性は1日のたんぱく質摂取量が少ないことがほとんど。
その場合は朝食に高たんぱく質な食品を食べるようにするといいでしょう。
食が細い人は昼ごはん・夜ごはんの1日2食でたんぱく質を無理やり摂るより、朝ごはんに追加するほうが簡単で継続しやすくなりますし。
次にダイエットの朝食でおすすめのメニューを紹介していこうと思います。
朝ごはんを食べる習慣がある人、1日のたんぱく質量が少ないと感じている人は参考にしてみてください。
まずオススメなのはプロテインです。
水や牛乳と一緒にプロテインパウダーをシェイカーでかき混ぜるだけなので、忙しい朝でも簡単に準備することができます。
最近はコンビニでも売られていることが多いので、通勤・通学途中で購入するというのもいいでしょう。
プロテインの種類はホエイプロテインがオススメです。
「ダイエットといえばソイプロテイン」というイメージがなんとなくありますが、実際はそんなことはなくたんぱく質の質的にもホエイプロテインが優っています。
コンビニで売られているものもホエイですし、あえてソイを選ぶ理由はありません。
次にオススメなのはゆで卵です。
卵は完全食と言われるほど栄養価が高く、栄養が不足しがちになるダイエットに最適と言えます。
また、満腹感が高い食品としても知られているので、朝ごはんにゆで卵を食べるようにすると、昼食までの無駄な間食を抑えられるようになるかもしれません。
野菜&果物も低カロリーかつ栄養豊富なのでダイエット中にオススメの食材です。
ただこれらの食材にたんぱく質は含まれないので、優先順位はちょっと低めと言えます。
まずはプロテイン・ゆで卵などからたんぱく質を摂るように心がけて、それでもお腹に余裕があるという場合は野菜&果物を追加するようにするといいでしょう。
最後に一般的には朝食に食べると健康に良い・ダイエットに効果的とされているけど、実際はそんな効果はない・むしろ太る危険性がある食品を紹介していきます。
何も添加されていないヨーグルトはたんぱく質も豊富で朝食のメニューとしてオススメなのですが、
コンビニやスーパーで売られている砂糖入りの商品はカロリーもその分高いので避けたほうが賢明です。
特に「無脂肪」とデカデカと書いてある商品は注意したほうがいいでしょう。
確かに脂肪はないかもしれないですが、代わりに糖質がたっぷり入っていることが少なくありません。
そもそも脂質は炭水化物より消化に時間がかかり満腹感が高いので、絶対に避けたほうがいい栄養素というものでもありません。
シリアルやグラノーラも朝食には食べないほうがいいでしょう。
一見健康に良さそうな雰囲気がありますがたんぱく質の量は少なめですし、商品の裏側にある栄養成分表に見ると、だいたい1~3番目以内に「砂糖」と記載されています。
栄養成分表は含有量が高い原材料ほど上位に記載する決まりがあるので、つまり、砂糖の量が他の原材料よりも多いということです。
これでは朝からお菓子を食べるの大差ありません。
果物が健康にいいことは間違いありませんが、たとえそれが果汁100%だったとしても果物ジュースは別です。
逆に健康に悪く、飲んだら太るので飲まないほうがいいでしょう。
記載された栄養成分表を見れば分かる通り、炭酸のジュースと対して内容は変わりません。
さらに果物に含まれる食物繊維がないので、果物ジュースを飲むと血糖値の急上昇&急降下を引き起こします。
その結果、飲んでからそんなに時間がたっていなくても空腹感を感じるようになり間食がクセになる、という悪循環に陥る危険性があります。
朝食を食べるかどうかは完全に個人の自由で、食べたいなら食べればいいし、食べたくないなら無理に食べる必要はありません。
むしろ食べると太るメニューもあるので、朝食だから食べてもオッケー!という発想は危険です。
朝食に過度な期待を寄せるのはやめましょう。
今回紹介したように、朝食には特別痩せる効果があるわけではなく、昼ごはん・夜ごはんと同じ良くも悪くも普通の食事です。